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めまいの話

日本めまい平衡医学会認定
めまい相談医」 富田英壽

めまいは原因が分かれば治ります


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はじめに

 最近は、めまいを訴える人が多くなってきました。それは現代の忙しい生活のなかで、ストレスを抱える人が多くなってきたためや、またいろんな生活習慣病を持つ人が増えてきたためで、それに、わが国は世界有数の長寿国になり、高齢化社会になってお年寄りが多くなってきたためでもあります。
図A
 めまいはどんな原因で起こるのでしょうか、めまいはどうしたら治るのでしょうか、「つらいめまい」と「こわいめまい」とは、どんなものなのでしょうか、めまいが不意におそってきたら、どう対処したらよいのでしょうか、めまい予防の手だては、どんなものがあるかなど知識と知恵を述べます。
 皆様には、この長生き社会を健やかに生きていくための、一つの手だてとしていただきたいと思います。
 ところで、めまいがどんな原因で起こるのか原因が分からず、なかなか治らないで、あちこちの病院を受診して回る「めまい難民」が、最近多くなっています。
 なぜかといいますと、耳鼻科にしろ、脳神経外科や内科にしても、めまいの診療を得意として、専門に診療している医師が、あまり多くないという実情があるからです。
 それに、医師が、めまい診療だけに、多くの時間を費やすことができない状況があるからです。
そこで、めまい診療を専門にしている全国の医師「めまい相談医」を、P4で紹介しておりますので、お近くの医師の診察を受け、困っていることを解決していただけたら幸いです。
 「めまい相談医」以外でも、めまい診療を得意として、専門的に診療をされている医師も多数おられます。
 しかし、皆様が全国的にこのような医師を探すのは、困難であると思われます。
 それで、めまい診療に詳しい医師を探す手立ての一つとして、日本めまい平衡医学会認定の「めまい相談医」を紹介しています。
 めまいの原因が分かり、その原因に対して適切な対処をすれば、めまいは治ります。
      早く原因を探して、これからの人生を健やかに幸せに、生きていただきたいと思いに『めまいは原因が分かれば治ります』を著しました。めまいで悩んでおられる方々の、めまい治療の手助けに少しでもなれば、望外の喜びで、誠に幸いに思います。



目次

  • はじめに
  • T めまいはどうして起こるのでしょう
  • U 障害がある部位によって、3グループに分けられます
    1. 一.耳に原因があって起こるめまい
    2. 二.脳に原因があって起こるめまい
    3. 三.全身に原因があって起こるめまい・その他
  • V めまい症状の種類について
    1. 一.グルグルめまい(回転性めまい
    2. 二.フラフラめまい (浮動性めまい
    3. 三.立ちくらみ(前失神性めまい
  • W めまいに伴う症状について
    1. 一.蝸牛症状>
    2. 二.自律神経症状
    3. 三.中枢神経症状
    4. 四.精神症状
  • X 「つらいめまい」と「こわいめまい
  • Y めまいの診断に、必要な検査
  • Z めまいの平衡訓練(運動療法・リハビリテーション)
  • [ めまいが起きても、あわてないようにしましょう
  • \ めまい予防の手立て
  • ] どの診療科を受診したらよいのでしょう
    1. 一.かかり付け医
    2. 二.耳鼻咽喉科
    3. 三.脳神経外科・神経内科
    4. 四.内科・循環器科
    5. 五.整形外科
  • XI めまいを専門に診療している医師をお探しの方へ
    1. 一.『日本めまい平衡医学会認定「めまい相談医」について
    2. 二.めまい相談医をお探しの方へ
    3.  全国の「めまい相談医」一覧
  • おわりに
  • 参考文献




T 「めまい」はどうして起こるのでしょう

 私たちの身体には、バランスを保つシステムが備わっております。耳、目、筋肉などからの情報が、脳に送られて適切に統合され、その情報が全身の筋肉に正確に伝わることで、体のバランスをうまく保っております。これらの情報に異常やズレが生じると、バランスがくずれ、めまいが起こります。
めまいは@耳の異常が原因、A脳の異常が原因、B全身の異常が原因・その他によって起こります。
 平衡感覚(へいこうかんかく)(重力の変化に対し身体の位置やつりあいを知る感覚)を司る耳の内耳(ないじ)(図1)は、リンパ液で満たされています。このリンパ液の増加や漏れでめまいが起きたり、内耳の器官の一部「耳石(じせき)」がはがれたり、内耳でとらえた情報を脳に伝える前庭神経(ぜんていしんけい)に炎症が起きたりしてめまいが生じます。図1 耳の構造 また、脳の中の小脳(しょうのう)(運動と平衡を司る)や脳幹(のうかん)(多数の脳神経が出入りし、多数の神経核が存在する姿勢反射の中枢)は、身体のバランスを保つ働きをしています。ですから、脳や全身の病気によって、小脳や脳幹に送られる血液量が不安定になったり,不足したり、小脳や脳幹が圧迫されてもめまいが起こります。
 めまいは、グルグル回るものだけをめまいと、思っておられる方が多いようですが、グルグル回る回転性のものだけではなく、フラフラしたり、フワフワしたりするような浮遊感のものや立ちくらみなども、平衡機能(へいこうきのう)の異常で現れた、すなわち平衡機能に障害(しょうがい)が起きてきた症状です。

 よく、「私は、めまいはしません、フラフラするだけです」と、いわれる方が多いですが、フラフラやフワフワも、平衡機能に障害が出てきた症状です。このような平衡機能の異常を、医学的に広い意味でめまいといいます。
 耳から起こるめまいでは、「メニエール病」が皆さんによく知られております。
 しかし、最も多い病気は「メニエール病」ではなく、「良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)めまい(しょう)」という病気です。めまい患者さんの約50〜60%といわれています。
 この病気は、内耳(ないじ)前庭内(ぜんていない)にある「耳石(じせき)」が何かの調子ではずれて、三半規管(さんはんきかん)の中に入り込み、頭を動かすと、リンパ液のなかを「耳石」がコロコロと動き回るために、数秒から数十秒位のグルグルめまいが起こる病気です。朝起きたときとか寝返りをしたときにグルグルまわる回転性のめまいが起こります。ですが、半規管から「耳石」が出てしまえば、めまいはおさまります。

 この病気を診断するためには、目に赤外線(せきがいせん)CCDカメラをつけて、頭や身体の位置を変化させて、すなわち、頭位眼振検査(とういがんしんけんさ)頭位変換眼振検査(とういへんかんがんしんけんさ) をして、どの頭の位置でめまいが起きるか、また左右どちらの耳が悪いのかを検査し確認していきます。
もちろん、他の脳や全身の病気からくるめまいがないかも、同時に眼振を調べていきます。

図2

 「良性発作性頭位めまい症」という病気で、勘違いされる方が多いのは、「安静にしていなくてはならない」と思いこんで、一日中寝ていることです。
 しかし、他の部分に病気がないときは、積極的に頭を動かした方が、めまいは早く治ります。このとき多少めまい感や吐き気が、ありますが心配はありません。数分休んでから、また同じ動作をしてみてください。繰り返していくと、そのうち、その日はめまいが、起こりにくくなってくるのが分かります。しかし、翌朝はまた頭を動かすと、同じようにめまいが起こることが多いです。夕方になると、めまいは少なくなります。

 「良性発作性頭位めまい症」の治療には、「耳石置換療法(じせきちかんりょうほう)」という理学療法(りがくりょうほう)「エプレイ法(起きあがり・頭下げでめまいが起きる場合)やレンパート法(寝返りでめまいが起きる場合)」を行います。
 医師が患者さんの頭に手をそえ、頭を決まった方向に変換し動かすことで、はがれた「耳石」を半規管から出し、元の位置に移動させる治療方法です。薬をいくら飲んでも、「耳石」は元の位置に戻ってくることはありません。薬では治らないのです。
 「耳石置換療法」によって、幸運な人は、5分位の1回の治療で治ります。それでも半数の人が、数回の治療で治ることが多いです。
 人によっては、治るまで時間がかかる場合があります。「耳石」が、膨大部稜(ぼうだいぶりょう)のクプラの粘着な所に、付着することがありますので、「耳石」がはずれるまで時間がかかるからです。「耳石」が元の場所に戻って治癒したら、再発は少ないものです。しかし、20人に1人位に、また、めまいが起きることがあります。再発しても、また、この「耳石置換療法」により治りやすいようです。

 耳が原因で起こるめまいで、次に多いのが「メニエール病」という病気です。めまい患者の約20%を占めます。
 フランスの医師メニエール(1799〜1862)が発見した病気です。これから、メニエール病という名が起こりました
この病気の原因は、内耳の三半規管(図1)の「内リンパ水腫(ないリンパすいしゅ)」といわれております。一口にいうと、内耳にリンパ液が多くなって、むくんでしまうのです。どうしてリンパ液が多くなってむくんでしまうのでしょうか。むくむ原因に大きく三つあるといわれています。
 一つは、ストレス、二つは過労です。三つは睡眠不足です。このような「くたびれ」がひどくなると、むくんできます。このむくみがひどくなると、そのむくみの圧迫で、内耳の機能が障害されて、めまい難聴(なんちょう)耳鳴(みみな)り、耳閉塞感(じへいそくかん)が起きてきます。
また、吐き気(はきけ)嘔吐(おうと)頭痛(ずつう)もくることもあります。このような症状、すなわちめまい、難聴、耳鳴りを繰り返すのが、この病気の特徴です。
 メニエール病のめまいは、数時間から数日ほどで軽くなり、おさまることが多いです。しかし、このような発作を、月に数回とか、1年に数回と繰り返してくることが多いです。
 さらに、めまいが繰り返して何回も起きることになると、次第に聞こえが悪くなり、聞こえが元に戻らなくなります。
 治療は、めまいがひどい時期は、休養が大切で、抗めまい剤や吐き気とめを用い、めまいを止めるようにします。

 この病気は、主にストレスが原因しているといわれています。ですからストレス、過労、睡眠不足などの生活習慣が悪影響いたしますので、生活面でこれらを軽減するように気をつけることが大事です。すなわち「生活改善」が必要です。
ストレス、過労、睡眠不足などの「くたびれ」を解消するため、「気晴らし」が必要です。仕事を減らし、休養をするとともに、趣味や色々の楽しみ、たとえば、ダンス、音楽鑑賞、園芸、手芸、ドライブ、温泉行きなどの気晴らしが必要です。
 また毎日の散歩や有酸素運動で内耳循環がよくなり、内耳のむくみを取り、良い効果があるといわれています。一度起きてしまうとすぐに完治は難しい病気ですので、根気よく治療しなければなりません。
 以上は、めまいが、どうして起こるのかについて述べ、耳からくる代表的な二つの疾患、すなわち、「良性発作性頭位めまい症」と「メニエール病」の概略を述べました。

 めまいを、起こす病気はどのようなものがあり、どれくらいの数があるのでしょうか。
 私どものクリニックにおける、平成29年1年間のめまい患者さんは、表1のようです。
 

    一番多いのは「良性発作性頭位めまい症」で約49%でありました。めまい患者さんの中で一番多い病気です。約50%から60%にみられるという報告が多いです。
 表2
    次に多いのは「メニエール病」で約20%です。多くの報告で、約10%から20%といわれています。脳からくる中枢性(ちゅうすうせい)めまいは約10%であります。めまい患者の男女比は、表2のように女性が男性の約3倍で、女性が多いです。

表3  良性発作性頭位めまい症の男女比と年齢比
(富田耳鼻咽喉科医院めまい外来2017年1月1日〜12月31日の1年間)

年齢
(歳台)
10
20
30
40
50
60
70
80
90
小計
合計
男性
(名)
1
0
2
7
10
16
9
5
1
51
212
女性
(名)
0
4
11
24
29
41
39
13
0
161

    私ども一般開業医を受診する「めまい患者さん」の約70%は、詳しく検査をし原因が分かればめまいは治ります。あとは、原因が分からないもの、原因が分かっても治りにくい難治性のもの、原因が分かっても治らない病気のものであります。
 次にめまいを起こす病気について個別に詳しく述べます。
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