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めまいの話

めまいは原因が分かれば治ります


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Z めまいの平衡訓練(へいこうくんれん)(運動療法、リハビリテーション)

1.めまいが慢性になり、回復困難な、永続的な例や急性期を脱しためまい例に、医学的治療とともに、平衡訓練が計画されるものです。

2.前庭障害が起こると、小脳が働き始めて、前庭系の左右差を軽減するように働きます。この働きを小脳の「中枢代償」といいます。この中枢代償の働きを促進するために、平衡訓練を行います。

3.平衡訓練は、めまいにより生じた日常生活における能力低下を改善する目的として、姿勢維持・身体運動・運動時の固視が安定かつ円滑にできるように、各種の運動を反復練習するものあります。

4.平衡訓練の対象となる病気には、次のようなものがあります。  

@障害が治癒する可能性のあるもの(一時的障害)   前庭神経炎(迷路反応回復例)   良性発作性頭位めまい

A障害が横這い状態のもの(永久障害) 内耳炎、中毒性内耳障害、内耳挫傷、前庭神経炎(迷路反応低下固定例)、脳血管障害、頭頸部外傷後遺症、聴神経腫瘍術後、先天性内耳発育障害  

B障害が進行していくもの   めまい・平衡障害の持続するメニエール病、両側高度迷路障害

5.平衡訓練(めまいリハビリ)の実際については、新井基洋氏(横浜市立みなと赤十字病院耳鼻咽喉科部長)が『めまいは寝てては治らない』など多数)で、および五島史行氏(国立病院機構東京医療センター平衡覚障害研究室長)が『薬に頼らずめまいを治す方法』で、分かりやすく解説しておられるので参考にして、平衡訓練・めまいリハビリを実践していただきたいと思います。


 

[ めまいが起きてもあわてないようにしましょう

一.めまい発作の最中は安静にしましょう。
めまい発作がおさまるまで安静を保ちましょう。明るすぎず静かなところで、横になって楽な姿勢をとりましょう。 強い頭痛、意識障害、麻痺などの脳の症状がなければ、めまいが軽くなるまで安静にしましょう。

二.気持ちを落ち着かせましょう。
不安な気持ちがめまいを強めることがありますので、あわてず落ち着いて行動しましょう。

三.主治医からめまい発作の時に飲む薬( めまい頓服薬(とんぷくやく))が、処方されていれば服用しましょう。

四.こんな時は、急いで病院へ行きましょう。
めまい発作に伴って、「激しい頭痛」「手足に力が入らない」「ろれつがまわらない」[物が二重に見える」などの中枢神経症状がみられる場合は、できるだけ早く救急病院を受診してください


 

\ めまい予防の手立て

一.過労を避け、規則正しい生活を心がけましょう。  

二.睡眠を十分取りましょう。

三.リラックス法を身につけ、ストレスの発散に努めましょう。  

四.生活をエンジョイしましょう。(楽しいこと、気晴らし、趣味、適量飲酒、適温入浴など)  

五.適度な運動を定期的に行いましょう。(散歩、水泳などの有酸素運動)  

六.塩分の取りすぎに注意しましょう。(メニエール病や高血圧症の予防のために)  

七.脂肪を取りすぎないように注意しましょう。(動脈硬化が脳循環障害の原因となります)  

八.タバコは吸わないようにします。(ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くします)  

九.気象情報(低気圧、台風、寒冷前線)に注意を払います。 
病気によっては、気圧の変化とめまい発作が関係ある病気があります。


 

] どの診療科を受診したらよいのでしょう

適切な診療科を受診しましょう。
めまいの種類に応じて、どの診療科を訪れたらよいかを考えます。

「耳鼻咽喉科」

 目の前がグルグルまわるめまい(回転性のめまい)は、多くは耳が原因のめまいなので、まず耳鼻咽喉科を受診する必要があります。このめまいは、突発的に起こるものがほとんどです。


「脳神経外科・神経内科」

 グラグラ、フワフワ揺れるめまい動揺性(どうようせい)浮動性(ふどうせい)めまい)の場合は、脳神経の病気が心配ですので、脳神経外科や神経内科を受診してください。脳神経領域からくるめまいは、突発的に起こる場合と徐々に生じる慢性の場合とがあります。突発的に起こった場合は、ぐるぐるめまいがきます。


「内科・循環器科」

 クラッとする立ちくらみのようなめまい眼前暗黒感(がんぜんあんこくかん)失神発作(しっしんほっさ)を伴うめまい)は、血圧と関係することが少なくないので、内科、循環器科の先生に相談してください。


「整形外科」

首の回転または伸展により、起こるこるめまいがあるときは、頸部に原因があると考えられます。また、腰痛があり脊椎狭窄症などの病気がある場合には、整形外科の先生に診てもらいましょう。


 突然にめまいがきた場合には、気持ちが動転して、どの科を受診したらよいのか戸惑うものです。どの科を受診したらよいか分からない時は、まずは「かかり付けの先生」に診てもらって、相談したらよいでしょう。

 以上は一般論であり、めまいは、色々の科に関係した疾患で起きてきますので、なかなか病名がはっきりせず、原因がよく分からないような場合が多いものです。このような場合は、めまい疾患を良く診療されて、めまい診療に詳しい医師に見てもらったほうが良いと思います。科を選ぶのではなく、めまい診療を得意にしておられる医師に診てもらって、早く原因を見つけてもらってください。その医師を選ぶ方法の一つとして、ご近所の「めまい相談医」に受診されることをお勧めいたします。

めまい相談医とは、一般社団法人日本めまい平衡医学会が認定した、めまい診療の専門知識と診療の技術を持つ医師であります。

 日本めまい平衡医学会の渡辺行雄理事長は、次のように、めまい相談医制度を説明しております。

 「日本めまい平衡医学会では、平成23年度よりめまい相談医制度を発足しました。本制度は、めまいの臨床について専門的知識と高度の診療技術を持つ本会の正会員である医師を、日本めまい平衡医学会認定めまい相談医として認定することにより、めまい診療の専門性を向上させ、めまい患者に医療機関・医師の選択等に関する情報を提供することを目的としています」

XIに、全国の「めまい相談医」の探し方を掲載しておりますので、お困りの時はご近所の医師に診てもらうことをお勧めいたします。

 原因がはっきり分かれば、めまいは治ります。



 

XI.めまいを専門に診療している医師をお探しの方へ

一.『日本めまい平衡医学会認定「めまい相談医」について

めまい相談医とは、一般社団法人日本めまい平衡医学会が認定した、めまい診療の専門知識と診療技術を持つ医師です。

 

『日本めまい平衡医学会では、平成23年度よりめまい相談医制度を発足しました。 本制度は、めまいの臨床について専門的知識と高度の診療技術を持つ本会の正会員である医師を日本めまい平衡医学会認定めまい相談医として認定することにより、 めまい診療の専門性を向上させ、めまい患者に医療機関・医師の選択等に関する情報を提供することを目的としています』

平成23年4月
日本めまい平衡医学会理事長 渡辺行雄』


二.めまい相談医をお探しの方へ

「一般社団法人 日本めまい平衡医学会」のホームページ(http://www.memai.jp/)から「めまい相談医一覧」をクリックしていただくと、全国の「めまい相談医」を見ることが出来ます。
 この「めまい相談医一覧」から、ご近所の先生を探し、めまいの原因を調べてもらって、治していただきましょう。




「参考文献」

  1. 小松崎篤『めまい・その基礎と臨床・』医薬ジャーナル社、1986年
  2. 神崎仁編『めまいの医学』南山堂、1995年
  3. 日本平衡神経科医学会編「めまい平衡障害の診断・治療のための臨床指針資料」『Equilibrium Research Supplement 11』、1995年
  4. 中井義明、鈴木淳一編『めまい診療の鍵』篠原出版、1997年
  5. 二木 隆『メマイの診察室』中央書院、1998年
  6. 武田憲昭他編『EBMに基づくめまいの診療と治療』文光堂、2001年
  7. トーマス・ブラント著国弘幸伸、神崎 仁、五十嵐眞監訳『めまい・改訂第2版』診断と治療社、2003年
  8. 神崎 仁『めまいの正体』文藝春秋、2004年
  9. 高橋正紘編『めまい診療のコツと落とし穴』中山書店、2005年
  10. 岡田智幸「赤外線CCDカメラで観たBPPV眼振所見」『ENTONI』NO60高橋正紘編、全日本病院出版会、2006年
  11. 寺本 純『新版めまい!脳は大丈夫か』講談社、2006年
  12. 北原 糺『めまいの待合室』金原出版、2008年
  13. 加我君孝「メニエール病の歴史」『JOHNS』Vol25No.6、2009年
  14. 日本めまい平衡医学会編『「イラスト」めまいの検査 [改訂第2版]診断と治療社、2009年
  15. 日本めまい平衡医学会診断基準化委員会編「良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン(医師用)」『Equilibrium Research』 Vol.68 No.4 、2009年
  16. 高橋正紘『薬も手術もいらないめまい・メニエール病治療』角川マガジンズ、2012年
  17. 内藤 泰専門編集『めまいを見分ける・治療する』中山書店、2012年 
  18. 城倉 健『めまい診療シンプルアプローチ』医学書院、2013年 
  19. 新井基洋著『めまいは寝てては治らない 実践!めまい・ふらつきを治す24のリハビリ(第5版)』中外医学社、2017年
  20. 肥塚 泉監修『図解専門医が教える!めまい・メニエール病を自分で治す・正しい知識と最新療法』日東書院本社、2017年
  21. 五島史行『薬に頼らずめまいを治す方法』アチーブメント出版、2017年 
  22. 伊藤文英『新しいめまいの診断と治療 一過性めまいからメニエール病まで改訂第2版』診断と治療社、2017年

おわりに

 長年めまい診療に携わって参りましたが、めまいがどんな原因で起こるのか原因が分からず、なかなか治らないで、あちこちの病院を、何か所も受診して回る患者さんが、最近多くなってきた感があります。
 何故かといいますと、耳鼻科にしろ、脳神経外科や内科にしろ、めまいを専門に診療している医師が、あまり多くないという現状があるからです。それに、医師が、めまい診療だけに、多くの時間を費やすことができにくい状況があるからです。

 そこで、めまい診療を専門にしていて、日本めまい平衡医学会が認定している全国の「めまい相談医」の探し方を、ここで紹介いたしましたので、この名簿を見られて、お近くのめまい診療に明るい医師の診察を受け、困っていることを解決して頂けたら幸いです。

  めまいの原因が分かれば、その原因に対して適切な対処をすれば、めまいは治ります。早く原因を探して、これからの人生を健やかに生きて、幸せになって頂きたいと思います。
なお脳神経外科医の久保山雅生先生には、ご専門の立場から目を通して頂いたことに心より感謝します。 また、富田耳鼻咽喉科医院職員の皆様には、校正の労をとって頂きました。心から感謝します。

平成30年5月13日
富田英壽


富田英壽(とみたひでひさ)
1937年福岡市に生まれる
久留米大学医学部卒業 
元久留米大学医学部講師 
医学博士 日本医師会会員  日本医史学会会員
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医 
日本めまい平衡医学会認定「めまい相談医」
現在 医療法人富田耳鼻咽喉科医院 理事長 
現住所 福岡県朝倉市甘木1971-2

【著書】
めまいを早く治したいあなたへ』
めまいはどうしておこるの』
『その時どきに心を込めて』
『梅は寒苦を経て清香を発す』
『種痘の祖・緒方春朔』
『天然痘予防に挑んだ秋月藩医歯春朔』
『予防接種は秋月藩から始まった』
『「ロータリーの思想と友愛」読本』
『魅力あるロータリーに』
『ロータリーの心をたずねて』 他

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