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めまいの話

めまいは原因が分かれば治ります


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二.脳に原因があって起こるめまい

 脳からのめまいは、耳からくるめまいに比べて、あまり多くはなく、めまい全体の10%位です。めまいの原因となる脳の障害は、主に小脳や脳幹などの損傷です。

1.脳血管障害(のうけっかんしょうがい)

@椎骨脳底動脈循環不全(ついこつのうていどうみゃくじゅんかんふぜん)
 椎骨動脈および脳底動脈は、主に小脳や脳幹を栄養する血管であります。これらの血管の血流不全でめまいが生じます。椎骨脳底動脈循環不全により、 一過性または反復性の神経症状をきたします。めまいの他、視野障害、視野欠損、意識障害、運動失調、麻痺、複視、嚥下障害、構音障害などがあります。 椎骨脳底動脈循環不全の神経症状は、めまいが最多で、約3分の2にみられます。椎骨脳底動脈循環不全によるめまいは、他覚的所見がほとんど得られないので診断に苦慮します。一過性のめまいが多く、眼振検査(がんしんけんさ)で、自発眼振(じはつがんしん)頭位眼振(とういがんしん)頭位変換眼振(とういへんかんがんしん)などの眼振所見を認め得ないことが多いです。 このような循環不全では、CTやMRI検査でも異常が見つかりません。

 前庭神経核(ぜんていしんけいかく)虚血(きょけつ)が一過性のめまいを引き起こし、内耳の循環不全が低音部の低下を発現したものと考えられます。椎骨脳底動脈系の循環障害には、脳動脈硬化などの器質的変化、および血圧異常ないしその変動による機能的変化の二つが考えられます。

A脳出血(のうしゅっけつ)脳梗塞(のうこうそく)など
今までにない激しいめまいが生じ、「ろれつ」が回らない、言葉が出てこない、物が二重に見える、うまく歩けない、麻痺やしびれがある、手が震える、力が入らない、細かい作業ができない、激しい頭痛などの症状が出てきます。このような場合は、早急に、脳神経外科や救急病院を受診する必要があります。

2.脳腫瘍(のうしゅよう)脳幹腫瘍(のうかんしゅよう)小脳腫瘍(しょうのうしゅよう)

脳出血、脳梗塞などに見られるような、中枢神経症状が起きてきます。




三.全身に原因があって起こるめまい・その他

1.血圧異常によるめまい

 血圧が安定している場合、めまいは、普通は発症しないものす。血圧が不安定で変動の大きい場合、主として椎骨脳底動脈系(ついこつのうていどうみゃくけい)循環不全(じゅんかんふぜん)の左右差と関連して、めまいが発症します。高血圧や低血圧、起立性低血圧、貧血、不整脈などがある場合です。  収縮期血圧が、100以下を低血圧といいますが、血圧が低いと心臓から脳まで、適切な量の血液を送ることが出来なくなり、血流不全が起こります。若い女性に低血圧の人が多く、めまいを訴える場合があります。  起立性低血圧とは、立ち上がったときや立っているときに、急に低血圧になってしまうものをいい、クラッとするめまいを起こすことがあります。臥床させると症状が改善するのが特徴です。  血圧異常によるめまいの場合には、難聴は伴わないです。

2.自律神経(じりつしんけい)失調(しっちょう)

ストレスや不規則な生活習慣で、また妊娠中や更年期では、ホルモンの変調から、さまざまな症状が現れます。めまいや慢性的な疲労感、頭重、頭痛、動悸、ほてり、不眠、便秘、手足のしびれなどの症状です。

3.心因性(しんいんせい)めまい

 パニック障害やヒステリー、神経症、うつなどの精神科疾患が関わるため、または強い不安があるためにめまいが起こる場合があります。地震酔い、下船病などもあります。    

4.貧血(ひんけつ)

血液の中の赤血球やそのなかの色素が、減っている病気です。

5.心原性(しんげんせい)不整脈(ふせいみゃく)弁膜症(べんまくしょう)心筋症(しんきんしょう)

 房室ブロック、心房細動などの不整脈があるとめまいが生じます。頻脈性(ひんみゃくせい)の不整脈群では、心拍数(しんぱくすう)が多すぎて心拍出量が減少し、脳血流が減少し、気が遠くなりそうな、立ちくらみのようなめまいをきたします。徐脈性(じょみゃくせい)の不整脈群では、心拍数が減少し、心拍出量が減少し、脳血流が減少し、同じく気が遠くなりそうな、立ちくらみのようなめまいをきたします。  

6.頸性(けいせい)めまい

 頸部に原因があり、多くの場合頸部の回転または伸展によりめまいが生じます。 その原因に関しては、頸部の骨、筋、靱帯の異常によるもの、椎骨動脈、椎骨動脈周囲の交感神経繊維などにあるとされています。脊椎管狭窄症(せきついかんきょうさくしょう)後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)などの病気でも平衡障害が見られます。

7.薬の副作用

 抗生物質や降圧剤、利尿剤、精神安定剤、血管拡張剤など、持病の薬が、めまいの原因になることがあります。




V めまい症状の種類について

めまい症状の種類には、次のようなものがあります。

一.グルグルめまい(回転性めまい)

「グルグル目が回る」「天井や周りの景色が回って見える」などのグルグルめまいです。
耳の病気(良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴など)に多く見られます 。 少ないですが激しい、長く続くグルグルめまいが脳出血などの脳の病気にくることがあります。

二.フラフラめまい (浮動性めまい)

目が回る感じはなく、フラフラ、フワフワする浮動感があり、足が地に着かないふらつく感じがします。

1.一次的なフラフラめまい
 椎骨脳底動脈循環不全、脳梗塞、一過性脳虚血発作などの中枢性障害と根元的に発生を同じくし、フワフワ、フラフするものです。

2.二次的なフラフラめまい
耳の病気の「グルグルめまい」のあと、「グルグルめまい」のエネルギーを失って治りかけていく過程で起こり、フワフワ、フラフラするものです。

三.立ちくらみ(前失神性めまい)

クラクラッとする立ちくらみ、眼前暗黒感、沈降感、血の気の引く感じなどです。
血圧異常、自律神経失調症、内分泌異常、貧血、心因性など全身性の病気に多いとされています




W めまいに伴う症状

 めまいに伴う症状(随伴症状)には、次のようなものがあります。  

一.蝸牛症状(かぎゅうしょうじょう)
内耳の障害で起こります。難聴や耳鳴り、耳閉塞感、音響過敏(キンキン耳にひびく)などです。

二.自律神経症状(じりつしんけいしょうじょう)
吐き気や嘔吐、冷汗(ひやあせ)、頭痛、動悸(どうき)(心臓がどきどきする)、便秘(大便が出なくなる)などです。

 一と二は「つらいめまい(内耳性めまい)」に伴う場合が多いです。  

三.中枢神経症状(ちゅうすうしんけいしょうじょう)
 麻痺やしびれ、頭痛、脱力、ふるえ、物が二重に見える、「ろれつ」が回らない、呑み込みにくい、うまく歩けない、起立不能、細かい作業が出来ない、排泄不能(便が出にくい)などです。  

四.精神症状
不眠や不安、抑鬱(よくうつ)(ゆううつになって気力が悪くなる)、痴呆(ちほう)などです。

頭痛以外の三と四は「こわいめまい」に伴う場合が多いです。




X 「つらいめまい」と「こわいめまい」

一.「つらいめまい」

 生命に急な危険のないめまいを「つらいめまい」と言います。

 グルグルめまいは、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴などの「耳が原因のめまい」に多いです。すなわち、「つらいめまい」の場合が多いです。耳性のグルグルめまい発作の後、二次的にフラフラめまい(浮動性めまい)が、続いてくることが多いです。
 その他血圧変動、自律神経失調症、内分泌異常、頸性めまい、心因性めまいなどはフラフラしたり、立ちくらみがするめまいです。

二.「こわいめまい」

 生命に危険を及ぼすめまいを「こわいめまい」と言います。

フラフラめまいは、一過性脳虚血発作(TIA)、椎骨脳底動脈循環不全症(脳の血めぐりの悪いもの)、脳出血、脳梗塞などの脳血管障害や脳腫瘍などの中枢性疾患ならびに不整脈、弁膜症、心筋症などの心原性の病気に起こります。これらは「こわいめまい」です。

 グルグルめまいは、耳が原因のめまいに多いですが、わずかの例外があり、小脳や延髄出血でグルグルめまいが起こります。
 これらの脳の病気からくる場合は、しびれ、はげしい頭痛、脱力(手足に力が入らない)、ふるえ、複視(ものが二重に見える)、「ろれつ」が回らない、嚥下障害(食べ物がうまく呑み込みにくい)、歩行障害などの中枢神経症状が伴うことが多いです。これは、「こわいめまい」ですので、この様な場合は早急に救急病院で診てもらう必要があります。




Y. めまいの診断に必要な検査

一.問診で時間をかけて、 めまい症状の種類、めまいの持続時間、めまいの起こる時間帯、すなわち朝なのか夜なのか、めまいの誘発事項、起こり始めた時期、めまいの随伴症状、すなわち耳鳴り、難聴、耳閉塞感、吐き気、嘔吐、頭痛などのめまいに関することや患者さんの家庭環境、日常生活の状況、仕事のことや今までにかかった病気などを、詳しくお尋ねいたします。特にストレスや心配ごと、過労、睡眠状況についてもお尋ねします。

二.生活の障害度を見るために『DHI』(Dizziness Handicap Inventory)という、めまいに関する質問票を書いてもらいます。不安や抑うつ状態などの精神状態を、知るための手がかりにするためです。

三.めまいの原因は、内耳の三半規管や耳石器という平衡機能を司る所の病気で、起こることが多いのです。時には、内耳の平衡機能をコントロールする脳(脳幹や小脳など)の病気によることがあります。このため、病気が内耳にあるのか、脳にあるのかを十分に検査して、調べる必要があります。

図9

図9 「めまいの診断」

四.めまいがある時には、眼球が激しく動くので、目の動き(眼振)を観察し記録します(眼振の検査・図2)。眼振検査用の赤外線CCDカメラを使用して自発眼振検査、頭位眼振検査、頭位変換眼振検査などを行います。

五.体のバランスが、どのような乱れ方をしているかを検査します(体平衡(たいへいこう)の検査)。 単脚直立検査(たんきゃくちょくりつけんさ)両脚直立検査(りょうきゃくちょくりつけんさ)歩行検査(ほこうけんさ)足踏検査(あしぶみけんさ)重心動揺検査(じゅうしんどうようけんさ)などです。

図10
図10(参考文献14より引用)

図11
図11(参考文献14より引用)

六.内耳が原因となっているかどうかは、聴こえの検査(聴力検査(ちょうりょくけんさ))や耳に注水して人工的に三半規管を刺激する検査(温度刺激検査(おんどしげきけんさ))を行うこともあります。

図12

七.脳の検査としては、目の動きの検査(電気眼振図検査(でんきがんしんずけんさ))や画像検査(がぞうけんさ)(CT、MRI)などが役にたちます。  したがって、以上のような検査を必要に応じて選択して行い、めまいの原因が耳からきているのか、脳からきているのか、または全身的な病気が原因なのかを鑑別診断していきます。

図13

図14

図15

 もし、脳からと考えられる場合は、脳神経外科や神経内科に紹介し、どんな脳の病気かを調べて、治療してもらいます。  また耳からと診断されたら、耳の病気にもめまいがくる病気が、次のようなものがありますので、どの耳の病気かを詳しく検査して調べていきます。

  1. 良性発作性頭位めまい
  2. メニエール病
  3. 慢性中耳炎由来の内耳障害 
  4. 前庭神経炎
  5. めまいを伴う突発性難聴
  6. 外リンパ瘻 
  7. 遅発性内リンパ水腫
  8. 聴神経腫瘍
  9. その他の内耳性めまい

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